こく

紀子の食卓のこくのレビュー・感想・評価

紀子の食卓(2005年製作の映画)
4.8
全く意味不明だった『自殺サークル』の続編でありながら、一本の作品として成立している。かなり長い作品だが、90分くらいの体感。凄い疾走感。
中二病臭い陰謀論もたまらない。

吹石一恵のキャリア最高傑作であり、吉高由里子の輝きも半端ない。

性的暴行問題で存在を全否定された園子温監督だが、この映画は観たほうがよい。

便利屋が現在ほどレンタル家族的な役割を担っていない時代にこの発想は斬新過ぎる。

本当の家族が、当たり前に本当の家族であろうとするだけで、血まみれの修羅場になるという構図。「誰もが単に役割を演じているだけ。自殺する人や殺される人でさえも」という社会や人間関係に対する諦念に満ちた解釈も深い。

投げっ放しのラスト含めて、繰り返し観たくなる作品です。

「あなたは、あなたの関係者ですか?」
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