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紀子の食卓のりのレビュー・感想・評価

紀子の食卓(2005年製作の映画)
3.7
人と人との関係を「役割」に置き換えて考えることは単純明快だが、冷たさを感じる。なぜなら、人は役割遂行の為に生きているわけではないからだ。父は父のように一家の大黒柱たる風格を保ち、妻や娘を叱る。一方で、妻のように優しく抱擁したり、子のように妻に甘える。つまり、「父」という固定的なイメージに自分を合わせて、機械のように行動している訳では無い。しかし、クミコは愛を知らずに育ったこともあり、人間関係を役割として見てしまう。そして、役割に従うことが正しいとさえ思っている。だが、別に父のイデアや母のイデアなんぞある訳でもないし、多様な家族があっていいんだと思う。
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