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ターミネーター4のキャンのレビュー・感想・評価

ターミネーター4(2009年製作の映画)
3.5
ターミネーターは1、2が偉大過ぎるため後の作品は不憫でならない。
1、2を観ていたころはみんなが「ワオ!スゲエ!早く未来の世界の話が観たいぜ!」などと思い期待が嫌が上にも高まってしまう。現実にはターミネーター公開時には既にノワールなSF作品は沢山あったし、そのなかには未来を描いた傑作も多かった。「マッドマックス2」には機械は出てこないが荒廃した世界をしっかり描いているし、「ブレードランナー」はレプリカントを通して人造生命と向き合い、「未来世紀ブラジル」では完全に管理された社会が如何に恐ろしいかを描いている。
20世紀の終わりまでにSF作品のなかである程度未来世界に対する解答が出た後、3の公開前にはターミネーターシリーズにとって致命的な作品が出てしまった。「マトリックス」だ。機械によって管理された社会を「マトリックス」は見事に(しかもシリーズで)描ききってしまった。
3がでても、そこに描かれるノワールな未来世界は「マトリックス」を越えることができないのは誰の目にも明らかだっただろう。
だからターミネーターが3以降あまり評価されないのはノワールな未来像が出尽くしてしまったからであり、多くの人が機械に管理されることへの恐れを実感するようになったからであると思う。
それを無視すればそこそこ楽しめる作品だ。
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