安藤エヌ

水の中のつぼみの安藤エヌのレビュー・感想・評価

水の中のつぼみ(2007年製作の映画)
3.8
「秘密の森の、その向こう」「トムボーイ」に続いて、シアマ監督長編デビュー作のこちらを念願の鑑賞。
2007年製作の作品と聞いて、シアマが少女たちに向ける眼差しはかくも確立していて、揺らがぬ基礎があった上で更新され続けているのだという驚き。
シアマ監督の作品は1つの作品を何度も反芻することで得られる気づきがあると同時に、並列して観ることでも知ることのできる文脈がある。今回その最たる部分を担っていたのは、主人公マリーの親友であるアンヌだと私は感じた。彼女からは受肉された性の苦しみや多感な時期の混迷する精神の複雑さを感じることができ、この映画に必要不可欠なキャラクターだと思えた。
自分でも各シーンの意図を深く思考したいが、ユリイカの特集号を読んで他人の感想も知りたい。またひとつ、自分にとって好ましいクィアフィルムに出会えて嬉しく思う。
安藤エヌ

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