ナツミオ

東京物語のナツミオのレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
4.5
WOWOW録画鑑賞
デジタル修復版

名匠・小津安二郎監督が1953年に発表。
戦後の変わりゆく家族関係を、透徹したまなざしで見つめ、世界映画史上ににおいて最高傑作の1本として広く知れ渡った不朽の名作。

1953年日本作品・モノクロ
監督・脚本 小津安二郎
脚本 野田高梧
撮影 厚田雄春
美術 濱田辰雄
音楽 斎藤高順
出演 笠智衆 東山千栄子 原節子 杉村春子 山村聰 三宅邦子 東野英治郎 大坂志郎

(WOWOW番組内容より)
尾道で暮らす周吉(笠)と、とみ(東山)の老夫婦は、今や成人して東京で暮らす子供達のもとを訪ねて上京するが、長男の幸一(山村)も長女の志げ(杉村)も、それぞれの家庭生活や仕事に忙しくて丁寧に両親の面倒を見る余裕がない。そんな中、戦死した次男の妻・紀子(原)だけが甲斐甲斐しく老夫婦の世話を焼き、”実の親でも無い我々にここまで尽くしてくれて“と周吉たちを感激させる。やがて老夫婦は尾道に戻るが、それから間もなく、とみに意外な事態が・・・

昨年、広島・尾道に旅行した際、岸壁の公園に本作品の記念パネルがあり、気になっていた名作。
観光メインは、大林宣彦監督の尾道3部作、新3部作の舞台の尾道観光やラーメンだったが、この有名作品は未見で気になっていた。

小津安二郎監督作品は、今回初めて観た感想は、"家族”をテーマにした移り変わりや有り様など今でも古さを感じさせない。

笠智衆の淡々とした演技と原節子の清楚な美しさ。
実の子供たちより、戦死した次男の嫁・紀子(原)の方が上京した2人の世話を親身に焼く姿。
特に、2人が紀子の部屋を訪れて、紀子が隣部屋のシングルマザーに、お酒を借りに行く場面は、当時の時代を感じる。
紀子が出前を取り、2人の前に給仕して、周吉にお酌をする場面などは細かな気遣いがよく描かれている。
対して、実の長男・長女の描かれ方とは対照的。

後半、尾道の岸壁に佇む周吉と紀子の2人のシーンや、ラスト近くの部屋での2人の会話は胸をうたれる。
これは観て良かった作品。

(以下Wikipediaより)
作品は国内外で高く評価されている。2012年に英国映画協会の映画雑誌『Sight&Sound』が発表した史上最高の映画ベストテン(英語版)の映画監督が選ぶランキングでは第1位に選ばれた。
主なオマージュ作品にヴィム・ヴェンダースの『東京画』、ジュゼッペ・トルナトーレの『みんな元気』、侯孝賢の『珈琲時光』、ドーリス・デリエの『HANAMI』、山田洋次『東京家族』がある。

しかし、洋画が大好きだった小津監督の作品が世界的に評価されたのは、彼の死後であったのは残念。

『ありがとうね』
ナツミオ

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