このレビューはネタバレを含みます
人間へのあたたかいまなざし、なんだかとてもじんわりくる映画でした。
方言といいますか、生活に根付いたことばの使い方がとても美しいと思いました。お父さんとお母さんが話しているシーンで、「わたしりゃあしあわせなほうですぁ」という台詞がありました。自分たちが不幸だ、と嘆くのでもなく、かといって幸せだ、といいきるのでもなく、「幸せな方」だ、というほどよい力の抜き加減、潔いあきらめのようなものにおもわず涙を誘われました。
この映画での「東京」と今わたしたちがいう「東京」、このあいだには少なからず隔たりがあるように感じます。わたしたちは「標準語」という名の統一的な言葉づかいに知らず知らず流されていってしまいますが、そうしてなくなくなっていくものって少なくないんですよね、きっと。