ちんねん

東京物語のちんねんのレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
4.2
初の小津安二郎。
よく整理され、反復される構図とセリフからなる映画に、安心して時を任せられた。
その分、最後のカットでは映画内の喪失感との距離の取り方を見失ってしまう。

時間がちゃんと流れるし、親族関係もちゃんと成立している。
構図もリズムも整っている中で、図式に回収されないような生の揺れを安心して味わえる。それでもまだ拾えるものがあるかのような奥行きがある。
非常に後味の良い映画。

蝉の鳴く夏、それも常に晴れ渡っている、というのがまたよろしい。
妻の亡くなった日も朝日は綺麗だったと。
なんと健やかな映画なんだ。
健やかさと安心と、奥行きと。
ちんねん

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