鹿shika

ロッキー3の鹿shikaのレビュー・感想・評価

ロッキー3(1982年製作の映画)
3.9
見事アポロに勝利し、世界チャンピオンとなったロッキー。世界チャンピオンとして君臨し続けていた。中弛みしていた時期にハングリー精神に溢れた若手選手にチャンピオンを奪われてしまう。そこでかつて死闘を繰り広げたアポロが、立ち上がる。

本作で伝えたいことは、”自分の存在意義について”だ。
もちろん 大きな家、高級な車、美人な妻、愛すべき子ども、
世界王者のタイトル、、などと“手にしてしまった物を失う怖さ”もあるがな。

これまでずっと一緒に闘い、最前線でロッキーの力になってきたミッキーの”死”を乗り越えなければならない。
加えて、一番最悪な形で彼を送ることになった。
世界王者のタイトルを守るために、これまでミッキーが対戦相手を選んできた。
だから勝てるのは当たり前と言われてしまうのである。
そう、かつてのアポロがそうだったようにだ(『ロッキー』)

さらに「お前には、あの頃にあったようなハングリー精神がなくなってしまった」と言われてしまう。
さらに練習中に、マスコミや女性ファンを呼んだりと、CMの台詞を言えなかったロッキーはもうどこにいないのだ。

負けるに決まっている。さらにミッキーに相手を選んでいたと言われ、自分の存在意義も分からなくなってしまった。
そこで立ち上がるのが、かつてハングリー精神で死闘を繰り広げたアポロだ。

「ロッキー、お前は引退するにはまだ早すぎる。お前が居なくなってからとても静かだ」と言いながら。
そしてアポロのルーツがある故郷に行き、二人で練習を始める。

ミッキーの死と、自分の存在意義が分からず、いつまで経っても練習に身が入らない。そしてアポロにでさえ、匙を投げられる。
このどん底から立ち上がる物語である。
そして今回成長するのはロッキーだけではない。
妻のエイドリアンだ。
まず理由を尋ね、弱音ばかり吐くロッキーに対し「現実から目を離してはだめ」と喝を入れられる。

「強くなったな」「ふふ、ボクサーの妻よ」
海辺で話す、この二人のシーンが大好きだ。
自身がない時に見る海と、話終わって見た海は、きっとロッキーにとっては全くの別物に見えたに違いない。
そして私も、それはそれは穏やかで綺麗な海に見えたぞ。


『クリード チャンプを継ぐ男』を見た人はわかると思うが、本作のラストでの二人のスパーリングシーンは熱いものがあるよな。
鹿shika

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