頭の上の赤い林檎

ロッキー3の頭の上の赤い林檎のレビュー・感想・評価

ロッキー3(1982年製作の映画)
4.9
 今作では今まで積み上げてきたものを上手く次のステージに押し上げた。

 まず語らねばならないのはミッキーの死である。物語として見たときに、ロッキーの戦うべき理由としてこれ以上なく相応しいものであり、タイミングもここしかないと思う。
 ロッキーという男の視点から見た時、私はロッキーと同じくとてもじゃないが耐えられなかった。
 ボクサーとして、一人の男として、一人の戦士として、必要なロッキーの外壁はエイドリアン、フィラデルフィアの街、など一つ一つが集合して埋められている。その中心は全てミッキーに辿り着く。彼と作り上げたファイトスタイル、男としての振る舞い、精神。ロッキーはそんな核を突如失ってしまったのだ。だから、大切な戦いなど最早どうでもいいような様子でミッキーの元へ向かうロッキーの気持ちには痛いほどの共感を覚えた。ミッキーがいなければリングの外でも最早どうすればいいかすらわからない。きっとロッキーもその時に自分の中でのミッキーの大切さに改めて気付いたはずだ。

 そんなロッキーに再び火をつける導火線がかつてのライバル、アポロ。そうなんだよ。ここでくるべきは気を衒った独特の世界観や斬新な展開じゃなくてどストレートな王道の激アツ展開がベストなんだよ!スタローンわかってるよあんたほんと。
 
 アポロはミッキーの穴を埋める新たな指南役としてこれ以上ない適任者であり、これ以上ない強力な味方だ。アポロも信じていたのだ。かつてのロッキーの脅威を彼に宿る、Eye of the tigerを。

 そして見事圧勝。

 ラストのロッキーとアポロが撃ち合って終わるカットの美しさよ。本当に素晴らしい。こんんなにも美しくて綺麗でリアルなスポ根を今まで知らなかったなんて。そして死ぬまでにこうして出会えてたことに感謝している。

 次回作4も早くみたいが、正直次ロッキーにくる試練はアポロ、エイドリアンに何かしらのトラブルが起こるのが流れとしては1番あり得そうで、耐えられるだろうか…笑 ポーリーが裏切ったりするのか…それだけはやめてほしいが、どうなるのだろうか。