佐藤克巳

切られ与三郎の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

切られ与三郎(1960年製作の映画)
4.5
市川雷蔵主演、伊藤大輔監督、宮川一夫撮影が、稀代の歌舞伎演目の映画化に成功した前作「弁天小僧」に続き、東宝から迎えたお富淡路恵子とかつら中村玉緒の、惚れ抜いた筈の与三郎雷蔵を裏切りも辞さない女の情念の凄まじさと、与三郎をひたすら信じ続け自害するお金富士真奈美を対照的に描いた世話物歌舞伎映画の傑作。ご存知、源氏店妾宅の場は意外とあっさりだが、与三郎とお富の木更津での出逢い、二人の駆け落ちの果てに、与三郎が、源左衛門に滅多斬りにされ簀巻きで海に投げ込まれる緊迫の場面が取り分け印象に残る。
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