くり

カポーティのくりのレビュー・感想・評価

カポーティ(2005年製作の映画)
4.0
これは素晴らしい。

作家のトルーマン・カポーティが「冷血」を書き上げるまでの物語。

はじめは取材対象である殺人犯ペリーを"金脈"として捉え偽りの友情で関係性を築いていくが、次第に彼に対して特別な何かを感じるようになり、、そしてペリーの絞首刑が執行されるその時が来て。。

冷血なのは殺人犯であるペリーか、それとも自分か。

ペリーとの対話を通して自身の心の闇に気付きどこか親近感みたいなものを感じるが、一方で絞首刑が執行されないと本は売れないというジレンマを抱えるカポーティ。その複雑すぎる感情と、そこから生まれる人間ドラマをこの映画は見事に描いている。
どこか「フォックスキャッチャー」に通ずるものを感じずにはいられない。ベネットミラーの丁寧且つ重い語り口は本作でも健在。

もちろん主演のフィリップシーモアホフマンの演技の凄さは言わずもがな。
彼の新作がもう観られないと思うと、残念で仕方ない。

とにかく、素晴らしい作品。
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