Ryuji

カポーティのRyujiのネタバレレビュー・内容・結末

カポーティ(2005年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

ペリーという殺人者に取材者以上の感情を持ってしまっているのではという猜疑心、そして何より冷血という本を書きあげる事への執着心。
2つの強烈な思考によって、あるべき人としての感性から自身が離れていっている、その感覚が彼の中に居座り続け、それを認める事に恐怖心を感じていたのではないか。
当作品での締めの言葉となったネルの台詞
「救いたくなかったんじゃないの」
この台詞にカポーティの本質があるとするならば、冒頭で述べた猜疑心はその対象を変える。ペリーへの愛情ではなく、ペリーの命はあくまで本を完結させる為の一つの道具にすぎない。その悪魔的な感性を持つ者の身体を流れる血は氷のように冷たいものであろう。

「冷血」の中でカポーティ本人がどのように語るのか、今から楽しみである。
Ryuji

Ryuji