たく

快楽のたくのレビュー・感想・評価

快楽(1952年製作の映画)
3.5
モーパッサン原作の3話オムニバスで、1話目が老いを受け入れられず若者の仮面をつけて快楽に走る男、2話目が娼館の女主人とその娼婦たちが親戚の聖体拝領のためほんのひととき田舎に帰って子どもたちの純潔に触れる話、3話目が若気の至りでモデルに入れ込んだ画家の愛が醒める話。
どの話にも快楽と真実の葛藤という要素が出てくるんだね。

映画が始まって、まず長回しを多用した流麗なカメラワークに驚く。
2話目で決して娼館の中にカメラが入らず、常に外から窓を通して室内を見せる独特な手法が印象的。
でもなんといっても、3話目でモデルが自殺しようと衝動的に階段を駆け上がって窓から落ちるところを追いかけていく撮り方がすごい!

この頃が全盛期と思わせるダニエル・ダリューの美しさに目を奪われて、ジャン・ギャバンも地味ながら存在感がすごいよね。あと、原作者であるモーパッサンが語るという設定で全体通してずっとナレーションが入るのはちょっとうっとおしかったかな。
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