KAJI7

ラルジャンのKAJI7のレビュー・感想・評価

ラルジャン(1983年製作の映画)
4.2
どうやらこれがブレッソンの遺作だったようで、凄く完成された映画だったように思います。

"L'argent"、「お金」にまつわるお話です。
偽札をつかまされた、ただただ不条理に巻き込まれた青年が、自らも悪の道に引き摺り込まれてゆくという救いの無いストーリー。
原作はトルストイ、カンヌでは監督賞だったとの事。
ブレッソンだいたい観てますが、構造としては同監督の『スリ』にかなり近いと感じます。

彼が描きたかったのは、フランスが社会全体として抱えていた、やるせなさなんでしょうか?
最近の社会は映画を観ていても同じテーマを擦り続けているところを見ると、彼の死後もまだまだ解決の見えない人間の本質に向き合った作品なのかもしれませんね。
良作でした。
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