ラルジャンの作品情報・感想・評価

「ラルジャン」に投稿された感想・評価

明るい映画が続いたので、今回はガラッと趣向を変えてロベール・ブレッソンの恐ろしいクライム映画「ラルジャン」を。

一枚の偽札を作った高校生たち。早速お金を騙し盗ろうと写真屋に向かい、これがまんまと成功する。

偽札を掴まされた店主夫婦は頭にきながら、腹いせに今度は灯油を売りに来たガソリンスタンド店員にその紙幣を掴ませる。

何にも知らないその店員はレストランで支払いをしようとしたところ、偽札を使用した現行犯で逮捕される……。

最初は小さな悪事だったのが、やがて雪だるま式に大きくなって、最後は恐ろしい猟奇殺人へ発展するまでを描いた「ラルジャン(金銭の意)」。

これは怖いというよりか無機質な不気味さの方が強い作品だった。

先に正直言うと、個人的にはロベール・ブレッソンは苦手である。

音楽をほとんど使用せず、役者は素人を使い演技もさせない、徹底して感情の高ぶりを抑制した厳格なブレッソンの演出に、どこに面白さを感じればいいのか最初悩んでしまった。

あの小津安二郎やヴィットリオ・デ・シーカですらまだメリハリが感じられるのに、この淡々としすぎた演出は一体何だろうと頭から疑問が離れなかった。

ところがある方のレビューで、"他の映画を豪華な料理に例えたら、ブレッソンの作品は血管に直接注射するようなものである"と書いたのを目にして、なるほどと合点がいきましたネ。

確かに点滴や胃ろうにメリハリがあったらそれはエライことである。

ラスト、犯人は警察に連行されて誰もいないお店の中を野次馬たちがずっと除き混んでるシーン。

これを黒沢清監督は「希望」と解釈したそうだが、凡人の私はこれを見た目通り「空虚」としか解釈できなかった。

で色々調べたらブレッソン自身はインタビュー等で「彼らは空虚を見つめている」と語っていたそうな😅

結局、悪の本質は誰にもわからないということなのだろうか。

■映画 DATA==========================
監督:ロベール・ブレッソン
脚本:ロベール・ブレッソン
製作:ジャン=マルク・アンショ/ダニエル・トスカン・デュ・プランティエ
撮影:パスクァリーノ・デ・サンティス/エマニュエル・マシュエル
公開:1983年5月18日(仏)/1986年11月29日(日)
SOSHI

SOSHIの感想・評価

4.5
しれば知るほど深い。
素人のわいには技術からなにから理解するの難しいわ。
音楽を無駄なところで使わないという使い方。
kur

kurの感想・評価

4.7
単純に映画の技法として素晴らしいと思う。
ブレッソンはすべての映画で「演じる」、ということが明確化されているのでその細かい仕組みが全体に大きな影響を与えている。
ブレッソンはほとんどすべての作品を通してある種の緊張感を維持しているのが凄い(かんたんに言ってしまえば職人ということになってしまうが)
なんか非常に官能的だなと思った。前までは感じなかったのに。ブレッソンの作品を見るのはこの作品で5作目くらい?

「たぶん悪魔が」を見返したくなった。
yoshimi

yoshimiの感想・評価

4.5
閉じられる扉は観客の視点を見えないその向こうの空間へと誘い、カメラがその誘惑に従って空間を軽々と飛び越え続ける
もう何も言うことないです……素晴らしすぎて

というより、ブレッソンのラルジャン、何が1番すごいかって、本当に、マジで、1つも計算されてないカットがない、さらに、1つとしてカッコよくないカットが存在しない、つまりは全カットが素晴らしくカッコイイのです。

ラルジャンが「扉の映画」と評されるように、めちゃくちゃ扉のカットが多いですが、その扉たちの生き生きとしている様たるや!ブレッソンに影響を受けた黒沢清監督しかり、建物を魅力的に撮る天才すぎる。
刑務所のシーンの扉の閉まり方とか、最高でした。

最後のシーンは、黒沢監督は人々が悪意の連鎖を止めた主人公を「見守っている」ということらしいですが、私には「真実」(それが悪意の連鎖を止める行為だったという)をただの「殺人」としてしか見ない大衆が主人公を槍玉にあげるシーンに見えてしまってダメでした。面白かったけど、すごくうわあああとなった、、、全く救いには見えなかったという、、、
『スリ』以来のブレッソン 。求めてたフランス映画だったな〜。カウリスマキっぽさアリ。
ドアの開閉がものすごく多い。それでカットを区切って、空間も区切ってる。途中からそればっか気になってしまったよ。
暗闇の中、犬が部屋中をトコトコ歩き回るという演出には鳥肌がたった。
健太郎

健太郎の感想・評価

3.4
この映画は役者の演技 台詞 BGM 物音 照明 画面設計などに一切の無駄がない

熱いものと冷たいものを同時に触るような感覚に襲われる

あなたはこの無駄のない完成された芸術に、絶賛するか寝てしまうかの二択だろう

とりあえずおフランスのカンヌて感じで普通の映画とは一味違うのは確か
miumiu

miumiuの感想・評価

3.8
過去に観た作品を記録。

何となく『罪と罰』っぽいなー(ちゃんと読んだことないけど)と勝手に思っていたら、ドストエフスキーではなくトルストイ原作だった。

偽札を巡るある小さな犯罪から端を発する転落人生が凄まじい。ひたすら淡々としたリアルな描写、コチラも淡々と観ていたら、ラストで「えっ、そっち?」と度肝を抜かれた。
衝撃的…
ある意味リアリズム…なんだろうな。
青山

青山の感想・評価

3.7

偽札を摑まされた男が破滅していく様を描いた、ブレッソンの遺作です。


1人の男が、自分に責任のない事で破滅していく。あまり理不尽な目にあうとこんな風になっちゃうものなんでしょう。淡々として感情が読みづらい話ではありますが、出来事自体酷いのでかなり主人公に共感してしまい、終盤はなかなかつらかったです......。

それにしても、映像がカッコいい。技術的なことはよく分からないけど、ワンカットずつそれぞれがバチっとキマってる感じ。
冒頭からして雰囲気に引き込まれ、またラストは強いインパクトを残します。

個人的に「スリ」がそんなにだったのでどうだろうと思いながら観ましたが、こっちの方がストーリーが分かりやすくて面白かったです。
>|