せいけ

ラルジャンのせいけのレビュー・感想・評価

ラルジャン(1983年製作の映画)
5.0
フレーム内で提示される情報の整理が洗練され尽くしている
大仰な演出は一切取り除き、見せるものと見せないものの正確な取捨選択で映画の緊張感を極度に高める
ストーリーの説明は少ないが、一言で言ってしまえば偽札にまつわる不条理劇
周到な演出の積み重ねと滑らかな編集で知らない間に物語が取り返しがつかないところまで進んでいる感覚
緊張感がありながら、語りのスマートさで心地よく見れてしまう
ここまで極限に削ぎ落とすからこそ85分でも密度の濃い映画になるのだろう
映画作りのお手本のような作品だった