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戦場のメリークリスマスのmocoのレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
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坂本龍一さんも、北野武さんも、演技経験がないにも関わらず、この存在感とオーラ。俳優が役を超えていると思う。
あまり戦争映画は見ないのですが、いつかちゃんと観たかった作品。
日本人の捕虜に対する酷い扱い方、その背景にある日本特有の武士道的な精神を見せられ(女性は登場しないけれど)、戦後に生まれてよかったなとは思ったが、日本人の感じる恥、重んじる精神、文化に気味悪さを感じつつも、今のこの世の中に蔓延る、だらしのなさ緩さが良しとされる傾向?みたいなものの方が私は苦手(相手や作品によりけりなので非常に差別的で良くないのだが、ずっとこうなので仕方ない...)なので、坂本龍一さん演じるヨノイ大尉がきりりとして本当に美しく見えた。
なんか男も女も全部平均化されつつある今のこの世の中にある種の安堵を感じつつも、一方では面白みを感じられない。気持ち悪さを感じる時も多々ある。
最近、いろんな場面(人と接する時や作品を見た時など)で怒りや疑問や憤りを感じることが多かったので、久しぶりに、感動した。
描かれている内容だけではなく、むしろそれよりも、色々な裏エピソードに感慨深い思いを感じた。
候補に上がっていた他の俳優陣の都合が合い、作品に抜擢されていて、北野さんや坂本さんが出演していなかったとしたら?ボウイも同様に。
あの音楽は生まれなかっただろうし、ボウイのあの美しく精悍な少佐も存在せず、ラストの北野さんのセリフが他のひとの口から発せられていたら?
とか色々考えながら最後ボロボロ泣いてた。
ピアノを2週間でやめた私も、この劇中曲だけは好きで練習して弾いていた。
いろんな想いが込み上げる。
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