キミシマユウキ

戦場のメリークリスマスのキミシマユウキのレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
3.7
1942年日本統治下のジャワ島捕虜収容所。英国陸軍中佐ロレンスは日本人軍曹ハラと奇妙な友情が生まれ始める……

1983年の日・英・蘭・新西蘭合作映画。
実はしっかり1回も見たことが無かったのでクリスマスの時期に鑑賞。


「メリークリスマスミスターローレンス」
(ビートたけし風に)


てっきりこのセリフのあとにたけしが機関銃でデビッド・ボウイ達英国兵をメタメタに撃ち殺す話かと思っていたら、全然違う良い作品でした(笑)
戦時下の日本兵の狂気と盲進ぷりを隠すことなく映し出し、諸外国との宗教観・道徳観・価値観の違いを見事に描くスタンスは日本人の監督としてとても勇敢なんじゃないだろうか?
戦闘シーンは一切なし、
女性登場シーンも一切なし、
という異様な雰囲気なのに最後には不思議と心が暖まった。

キャスティングもかなり異例だろう
主要メンバーがトニー賞受賞のトムコンティ意外演技は素人ということに驚き。
アーティストとしてはカリスマなデビッド・ボウイの儚げな美しさ!
本当に宇宙から来たんじゃないのあんたは!
芸人としては超大物のビートたけしの凄み!
ほかの俳優達を食ってしまう覇王色の覇気を既にこの頃からもちあわせている!
音楽家として一流な坂本龍一の魅力!
なんか危なかっしい表情と性格がピッタリ(なのか?)
これを融合して面白く出来ると思った監督が凄い。
たけしと坂本龍一は当時自分たちの演技が酷すぎたと自覚してフィルムを燃やそうとしたとか(笑)

有名なラストシーンはすべて見終えたあと、こんなにも心に残るとは思わなかった。
まぁクリスマスに家族と一緒に見るような作品ではないです(笑)


正しい者は誰もいない


戦争が題材の映画好き、世界との価値観の違いなどが好きな方、そしてバカヤローコノヤローしないたけしを観たい方にはオススメの作品。