Uえい

カルメンという名の女のUえいのレビュー・感想・評価

カルメンという名の女(1983年製作の映画)
3.0
当時オペラのカルメンの著作権が切れたタイミングで、他にもカルメンを題材にした映画が公開されていたらしい。肝心のカルメンを知らない状態で見てしまった。引用が多く、話も急な展開をするので追いつくのに必死だった。

ゴダール自身がスランプに陥った映画監督として登場する。ある日、姪のカルメンが訪ねてきて、映画撮影のために空き家を貸すことになった。彼女は犯罪グループの一員で、銀行強盗後の隠れ家にしようとしていたのだった。

グループでは映画撮影に見せかけて銀行強盗を成功させるが、逃走中にカルメンは警備員の男ジョセフと恋に落ちてしまい、二人で隠れ家に逃げ愛し合う。

その後ジョセフはカルメンの代わりに自主し、再びカルメンの元に戻ってきたが、カルメンの愛は冷めてしまっていた。そして潜伏先のホテルでは叔父ゴダールの映画撮影に見せかけた強盗を企んでいた。

三つの話が並行して語られていて難しく感じた。まずカルメンとジョセフの恋愛。ゴダールに映画を撮らせようとする話。そして、映画で使う弦楽四重奏の演奏。演奏シーンがちょこちょこ挟まるのはリヴェットの「メリー・ゴー・ラウンド」を連想する。

弦楽器の演奏も良かったが、ジョセフが砂嵐のテレビを手のひらでさするシーンが、異物感があるものの、音楽と映像が凄く良かった。「仮面/ペルソナ」を意識しているのかな。

何だかわからないけど、音楽、映画、銃、車、男、女など、映画の要素を玩具箱の様に詰め込んである印象で、嫌いになれない不思議な映画だった。
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