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カルメンという名の女のもりぐちのレビュー・感想・評価

カルメンという名の女(1983年製作の映画)
4.1
映画を撮ることと資本家の金を取る銀行強盗や誘拐が重ねられる。両者が同じく労働だとすると、主人公は失業者になるのか…?資本家と労働者、ベートーベンとトムウェイツ、主人公とウェイターと非常に構図がはっきりしてる割に意味がはっきりわからん。これはボサッと見た俺が悪い

それにしても女性が本当に綺麗に撮れている。日が差している中2人が顔を寄せ合っている長回しなんか怖いぐらい美しい。すげー

また、完全ではない歪んだ結合でないと飛躍は生まれないというようなことを映画の中でゴダールは述べていたが、そういや似た感じのことをランシエールも言っていた。当然のように美しいこの映画においてゴダールは最早ショットを信じておらず、その結合に賭けているのかもしれない。それは主人公とカルメンが恋に落ちたような生成を求めることなのかも。それが「愛」と定義されてしまった時点で彼女は彼のもとをすり抜ける。そして彼は失業する…まさにゴダール自身だ!

結局素晴らしい素晴らしいと言うだけでは彼に近づけない。やっぱり映画に絶望しないとダメなのかもなぁ…
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