Jeffrey

ディア・ハンターのJeffreyのレビュー・感想・評価

ディア・ハンター(1978年製作の映画)
4.0
「ディア・ハンター」
去年12月に公開されたM.チミノの最高傑作「ディア・ハンター 」4Kデジタル修復版が早速角川から発売されBDが届く!初公開インタビューに加え新規字幕、ブックレット、二枚組、アウターケース付の豪華版。早速見返す。
冒頭、工場風景。長閑なペンシルベニア、花嫁と婿。祝福、宴、異国の地。捕虜、脱出、死のゲーム…本作はM.チミノが78年に生み出したベトナム戦争映画の頗る傑作の一つで去年劇場で4K上映を見逃し、BDにて人生4回目の鑑賞。まず画質は当然だが綺麗だ。物語はベト戦に駆り出され‬た若者3人が帰還兵として日常に戻るまでを壮大に描いたスペクタクル。それこそ幕を付けてないが第1幕、2幕、3幕と振分可能な場面内容で人々の日常からカオスの戦場、傷を刻まれ日常復帰と180分の尺に収めたチミノ映画史上の大傑作。それに役者全員の芝居が見事に調和し、俳優の仕事の凄さに敬服できる‬一作。そして議論、物議を呼ぶロシアンルーレットの衝撃的なシークエンスは本作を観終わった時にその部分しか脳裏に浮かばない強烈な印象を残す…それが本作を商業的にも成功させた一つだと思う。我々は前情報を得て鑑賞し本作が戦争映画祭として観るが物語が始まり結婚の下り、鹿狩りと…それで1時間‬が過ぎる。途中いつになったら戦場になるかと思う…実際戦争物にも関わらずそのシーンは映画の尺に比べると微々たるもの。多分予算が厳しかったんだろうが…作品は重厚で素晴らしい。当時差別的、事実に基づかないと批判もあった様だがドラマとしては良い。デニーロ始め役者軍皆が本物の演技を魅せる傑作だ。‬M.チミノ映画史上最も評価が高い本作は激動の60年代に起きたベト戦に狩り出された若者3人を軸に展開される鹿狩りハンターの物語。やはり戦場の狂気を象徴する“引金ゲーム”の場面は凄まじい…戦場現地を映す70年代とベト帰還兵の苦渋を映す80年代…ベト作品を扱った傑作の一つだ。
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