イチロヲ

光の雨のイチロヲのレビュー・感想・評価

光の雨(2001年製作の映画)
4.5
連合赤軍を題材にした映画の製作を推し進めている監督(大杉漣)が、当時を知らない若者たちを起用して、真に迫った作品の完成を目指していく。立松和平の原作小説を変則スタイルで映画化している、実録系ドラマ。ロケ地は北海道の知床。

連合赤軍の行動を「劇中劇」として描くことにより、若手俳優と赤軍メンバーをオーバーラップさせていく手法が取られている。山岳ベース事件をメインに扱い、虚実のシークエンスを綱渡りさせて、連合赤軍を顧みていくという論法。

劇中劇の赤軍メンバーは偽名だが、各人にモデルとなった人物が実在している。山本太郎(モデルは森恒夫)と裕木奈江(モデルは永田洋子)が堂に入った芝居を見せてくれるが、あえて重箱の隅をつつけば、永田洋子の見た目が可愛すぎるところが難点といえる。

連合赤軍は「日本の世直し」から始まった、ある種のトランス状態(バッド・トリップ)であり、偉大なる反面教師でもあることが理解できる。「人間の脳みその不思議」という観点からも、関心が高まる。
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