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魔女の宅急便のERIのレビュー・感想・評価

魔女の宅急便(1989年製作の映画)
4.5
♪やさしさに包まれたなら~♪ユーミンの声がラジオから流れてくる。本当によく出来た映画やなぁと感心してしまいます。ちょっとどんくさいキキと、生意気でしっかりものの黒猫ジジ。あんまり可愛くない黒いワンピースに真っ赤なリボン。自分に出来ることをただ一生懸命に探して、ひたむきにそのお仕事を頑張る。失敗することもあるけれど、ちゃんと自分の足で立つ。めちゃくちゃ共感できる。

キキが住もうと決めた街の人たちは魔女が嫌いみたい・・最初は受け入れてもらえなくて。たくさん失敗もして落ち込んだりもするけど、ひとつひとつの出会いの中で光を見つけていく。

時々飛べなくなってしまっても、ジタバタして、必死にもがいて。新しくお友だちが出来る中でも傷ついたり、意地はってみたりする。他の登場人物もみんないい味出してるよね。キキの最初のお客様のおばあちゃんも、そこで働いてるバーサも。キキが住み込みで置いてもらってるオソノさんも、その旦那も。それぞれの愛情表現があっていいなぁと思いました。

周りに住んでキキに優しくしてくれるこの街の大人たちも直接手をさしのべたりなんかしないで、遠まわしにきっかけをくれるねんよね。そういう見守り方がとっても温かくて、胸にくる。自分が一人暮らしを始めてから、改めて見直してみると余計胸にぐっときます。

キキが親元から離れるシーンで。パパとお別れするところがあるねん。英語版やと、キキは「I love you, Dad.」て言いながらハグするねんけど、日本語版はギュッて抱きしめるだけで何も台詞はない。あぁ文化の違いがすごく現れてるなぁって思ったよ。ちゃんと言葉にして意思表示をする英語も、何も言わないけどちゃんと伝わってくる日本語文化もどっちも素敵やなぁって、改めて思いました。

自分的にあんまりうまくいかなくなった時に、そっと背中を押してくれるような作品です。観る度に新鮮で、毎回「がんばろう」て思えます。
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