キョーカイ

魔女の宅急便のキョーカイのレビュー・感想・評価

魔女の宅急便(1989年製作の映画)
4.0
「落ち込む事もあるけれど、私この街が好きです。」
最後の手紙の一言が大好き。

糸井重里さんのキャッチコピーは「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」微妙に違う。手紙の方は物語のまとめ台詞として完璧だし、糸井さんの方は映画をまだ見ていない人を引きつけるキャッチコピーとして良い。

久しぶりに見たら新しい発見がたくさんあった。

声優陣は豪華。高山みなみがキキとウルスラの二役をこなしていることに驚いた。2人の掛け合いも多いけど、全く違和感がない。声優のすごさ。トンボは山口勝平さんなのでもはやコナンと新一が喋ってるのが面白い。

■ニシンの孫娘
今回一番見方が変わったシーン
一生懸命作ったニシンパイをずぶ濡れになって届けに行ったら、孫娘が「おばあちゃんからまたパイが届いたの!」「私これ嫌いなのよね」と言う。幼い頃に見たときは酷いやつだ!としか思わなかったけど、20代になった今だと彼女の気持ちがちょっと分かる。

確かにおばあちゃんって自分が子供の頃好きだったものを今でも送ってきたりするよね...と思った。もちろん表向きはありがとうと言うし、今度から送ってこないでとはとても言えないけど、心の中では「これ実は今はあんまり食べてないんだよな...」と思う物はある。
そういった感情をストレートに表現しているのがこの孫娘なんだなと思った。自分が成長したらシーンの解釈が変わったことに感動した。

■キキが熱を出すシーン。
おソノさんが部屋を出ていくときの「おソノさん?」「んー?」「んーん、なんでもない」というセリフ。熱を出してお母さんに会いたくなり、おソノさんを母親に重ねてつい呼んじゃったんだろうと感じた。

■ずぶ濡れで帰ってきて階段を登るシーン
最初はトボトボ登るけど、おソノさんと会話した後は逃げるように駆け上がる。ずぶ濡れで落ち込んでて弱ってる自分をおソノさんに見られてしまったっていう強がる思いなのか、街での生活が上手くいきかけてたのにつまづいた事に対するイライラなのか、

■キキが飛べなくなり、ジジが話せなくなる。
飛べなくなった理由は色々考察があるが、思春期を迎え、恋や嫉妬を経験し、心が成長した証だと感じた。スランプのようなもので、キキは最後にトンボを助けたいという気持ちでスランプを脱する。
ジジが話せなくなったのはキキがもう子供じゃ無くなったからだろうなと思う。「トトロを見れるのは子供だけ」っていうのと重なる。子供と大人じゃ動物への接し方や感じ方が変わるよねっていう。

■パン屋の主人のキャラが大好き。
ぶっきらぼうで怖そうに見えるけど、実はおソノさんと同じくらいキキを心配し見守ってくれている。パンで看板を作ってくれたり、雨の日は外に出てきて心配したり。ジジだけが見てるところでトレイをクルクルッと回るカットが最高。豪快なおソノさんと良いコンビだなあと思う。

■ユーミンの曲
「ルージュの伝言」と「やさしさに包まれたなら」何百回聞いても名曲。「ジジ、ラジオつけて」から始まる海をバックにしたオープニングが最高。

・地味に冒頭に出てくる汽車のワラのモフモフ感が好き。
・街並みが本当に綺麗でやっぱ地中海系の街行きたいなあとなった。
・大人になって見ると、トンボってパーティ行ったり男女でワイワイしててナンパもしてくる陽キャじゃんと思った笑。
・ジジとにかくかわいい
・ウルスラの血の話も興味深い。みんなそれぞれ違った強み、才能があるよねっていう話

本当にジブリは無限に感想が出てきちゃう