ロッツォ國友

夕陽のガンマンのロッツォ國友のレビュー・感想・評価

夕陽のガンマン(1965年製作の映画)
3.6
殆ど夕陽のシーンがない、夕陽のガンマン!!!!


荒野のガンマン、夕陽のガンマン、荒野の用心棒、夕陽の用心棒…たぶん、全部TSUTAYAにあった気がする。
どれかしらがどれかしらのインスパイアなのだろう。
いや、分かんねぇよ。。。

野郎ラーメンが二郎ラーメンのインスパイアなのと同じ感じだと思う。


まず本作を観て常に思うのは、

「カッコいい」

という一点。
とにかく最初から最後まで、カッコいい。


スーツのおっさんもポンチョ野郎も、そしてトラウマ懐中時計をヘビーローテしまくるガチ大悪党ヒゲ将軍も、みな滅茶苦茶にカッコいい。

酸いも甘いも経験してきたであろう、しかしそれを多くは語らないオトナの男の、クールな立ち居振る舞いの全てが詰まっている。
彼らの一挙手一投足には味があるが、その実体までは殆ど語られない。シブい。

是非こんな感じの男を目指したいし、明日はポンチョを買いに行きたいし、彼女も居ないが子どもが産まれたらコレばっかり観せたい(虐待)


ぶっちゃけ西部劇っつーのは、技術的に上な今作った方が遥かに良い出来になるもんだろうと思っていたが、今回その考えは覆された。
全盛期にしか作れない空気感。
全盛期でしか表現できない面白さ。
それが技術的に劣ろうとも、このヒリヒリするような面白さカッコよさは少しも色褪せないし、届かない。と思った。


スーツのおっさんも最高だったけど、いややっぱり何よりイーストウッド先生!!
俺は、朝から晩まで名作映画撮りまくっては洗いたてのグラン・トリノを眺めるのが趣味のボクシングトレーナーおじいちゃんっていう印象しかなかったので、普通に他人の監督する映画に俳優として出てたという事実そのものが逆に新鮮に感じた。

てか、カッコ良すぎない?
顔の造形が神がかってない?
DNA側が甘やかし過ぎてない??
何でこんなカッコ良いのに歳取っちゃったの?(錯乱)


イーストウッド全盛期がありえんほどカッコ良かった、というのが何より印象に残ったし、それを生かしつつ、それに周りが殺されない演出の妙が見事。
終盤手前がビミョーに退屈な印象を受けなくもなかったが、全編に渡って主役二人と悪役1万ドル相当が引くくらいカッコいいのである。

ポンチョ野郎はいきなりポーカー始めちゃったりただのヤバい人だけど基本歩いてるだけでカッコいい。
スーツのおっさんは迫力だけで汽車止めるわ銀行員ビビらせるわ割とヤりたい放題なのがカッコいい。
大悪党ヒゲ将軍は根城にしてる協会の説教台?で作戦を話す所とか最高にカッコいい。というかエロい。
この、カッコいい演出アイデアの数々が、後のどれだけの作品に影響を与えたのだろう。


そんな感じでキザまっしぐらな本作だが、その一方で、
超キモい距離感のまま首でタバコ着火とか、
足ふみふみからの帽子撃ち遊びとか、
保健所が見たら発狂しそうな線路沿い事故物件住みのうるせえジジイとか、
みんなのパクった金庫撃ち大会とか、
あといちいち敵に銃渡しちゃうセキュリティ意識の甘さとかも、
時折チャーミング要素が何の前触れもなく踏み込んでくるのも微笑ましくて良い!
待って、どこまでがギャグなんこれ??



……なんか、全体的にバカっぽい感想になってしまったのだが、細かい知識とかを殆ど必要としない、映画という、観るだけで楽しませる力を持った娯楽として、本作は非常にシンプルに完成されている。

これぞ語り継がれるべき名作。
納得だ。


ところで、何で西部劇って酒場だと必ず管理職ぐらいの年齢のおっさんがピアノでゴキゲンなBGMを弾いてるんすかね?
史実でもそうなんですか?
鳥貴族でもやって欲しいんですけど??
ロッツォ國友

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