ボブおじさん

デストラップ・死の罠のボブおじさんのレビュー・感想・評価

デストラップ・死の罠(1982年製作の映画)
4.0
全編ほとんどの舞台が主人公の自宅という密室サスペンスだが、二転三転する脚本の完成度が非常に高い。ミステリー小説の名作「死の接吻」、恐怖小説のモダンクラシック「ローズマリーの赤ちゃん」の原作でも知られる作家アイラ・レヴィンによる戯曲を「十二人の怒れる男」などの名匠シドニー・ルメット監督が映画化。

同じミステリー舞台劇の映画版「探偵 スルース」でも実力を発揮したマイケル・ケインが、エゴイスティックな主人公をはまり役で巧演。その卓越した演技は、本作の見どころの一つ。一説によると彼の出演した作品の3分の2はミステリーだと言う。

また、彼を師と慕う青年役で、1978年から4本作られた「スーパーマン」シリーズで知られるクリストファー・リーヴ(惜しくも2004年に他界)が好演。本作ではしっかりと地に足の着いた演技を見せている😊

また密室での殺人を扱ったサスペンスでありながら2人の女性が登場するシーンは、どことなくユーモアを感じさせ、映画に適度な緩みを与えている。

お互いのエゴが渦巻く騙し合いの末の、どんでん返しに次ぐどんでん返し。少ない登場人物の中で目まぐるしく攻守が入れ替わるスリリングな展開。果たして最後に笑うのは誰なのか?

〈あらすじ〉
最近手掛けた劇がいずれも酷評を浴び、すっかりスランプにあえぐ人気劇作家シドニー。そこへ教え子だった劇作家志望の青年クリフが講評を賜わりたいと、書き上げたばかりのミステリー戯曲「デストラップ(死の罠)」を送ってくる。その抜群の出来栄えに感心しつつ嫉妬もした彼は、それを横取りして自分の作品にしてしまおうと画策。妻のマイラが反対するのも聞かず、シドニーは高級住宅地イースト・ハンプトンにある自宅にクリフを招くが……。