高速シンカー

泥棒成金の高速シンカーのネタバレレビュー・内容・結末

泥棒成金(1954年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

個人的な感想として、ヒッチコックの典型的作品に感じた。
サスペンスの神様と言われるし、作り手からすれば目を見張るような革新的演出を数々生み出した天才なのだと思うが、大体見終わった後に65点くらいの感想を持ち、そのまま急速に記憶から薄れていく内容のものが少なくない。あんまり必要とは思えないラブロマンスや人間ドラマが挟まったりするのも、あーまた始まったよと見るたびに思わされる。ただ、一周回ってそれもそれを欲している自分のようなものがないとは言えないところもある。見終わって、まーた65点だと笑いながら言える楽しさというのは間違いなく存在する。
一つ大きな美点として、ヒッチコック映画は妙にシリアスぶったり、社会派なメッセージを入れたり、映画自体が何かしらこちらに説教したりする等の、諸々の押し付けがましさや鬱陶しさを感じるストレスが格段に少ない。だからいつ見ても、65点を存分に楽しめる作品群ではある。その純粋な退屈さがある意味、疲れている人に対する大きな救いになる可能性もなくもない。
本作もまたその意味で、完全に65点を叩き出しているが、自分的には呆れながらもその安定した出来栄えに清々しい安心感も覚えた。グレースケリーが見られるのは良い。
高速シンカー

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