初メカス作品鑑賞。ドキュメンタリーでここまで作家性が発揮できるのもそうそうない。ドキュメンタリーだとロバート・クレイマー以来の感覚だけど、クレイマーは撮影によって主観を演出したのに対してメカスは編集によって自らの語り口を進めていく。タイトルの通り、メカス自身の記憶的記録の断片を繋いでいく。そこに映る人々の声はなく全てメカスが全てモノローグで語ることによって、ドキュメンタリー映像が全てメカスの記憶の物語として処理されていく。この構成のアイデアは天才的だと思う。手持ちのブレブレの撮影も早回しの処理も、あたかもこちら側が走馬灯を見てるかのような感覚に陥らせている。
2021 #43