このレビューはネタバレを含みます
★1985年に続き2回目の鑑賞★
当時は斬新だった、監督であるエリア・カザンも創設者の一人であるアクターズ・スタジオ出身のマーロン・ブランドの演技を堪能できる作品。
本作は当時のハリウッド作品としては珍しく、非常に硬派な内容に仕上がっている。
それはブランドのふてぶてしい演技はさることながら、脇を固めるリー・J・コッブやロッド・スタイガー、他の労働者の脇役たちも個性的かつ演技をしている感じのしない強烈な印象を残すこと。それと本作が映画デビューとなったヒロイン役のセイントがこの時代としては珍しく痩せぎすで知的な印象はあるものの艶やかでもないことにも起因している。
これらが相まった結果として、全編通じてリアリズムを追求した緊迫感があり、現代でも通じるような普遍性を感じさせる。
ちょっとラストが腑に落ちない。波止場の労働者やその家族は波止場を牛耳る組合のボスのせいで貧しい暮らしをしており、それに最後は楯突いたテリーは英雄であるべき(少なくとも裏に隠れてそのようなシーンがあっても良かった)。誰もがテリーをのけ者にする演出には疑問符が付いた。