Loca

エディット・ピアフ愛の讃歌のLocaのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

言わずと知れたフランスのシャンソン歌手、エディット・ピアフの人生を事実になぞらえて描く。

波瀾万丈、と一言では片付けられない命の炎がそこにはあった。
歌手を名乗れど現実には物乞いと変わらない母。うだつの上がらない旅芸人の父。その2人から生まれた天性の歌声を持つエディット。地を這うような生活からキャバレーのオーナーに見出され、何人ものアーティストに愛されてスター街道を駆け上がるも、ただ1人の、自分だけを求めてくれる誰かからの愛を求め続けて亡くなった、悲劇のスター。

けれど全ての悲しみや不幸と呼ばれる事象はすべて彼女が歌うために起こったのではないかと思わせるほどに、歌声が心を掴んで離さない。人生に後悔はない、今まで経験した幸せも不幸も私にとっては同じ、と歌う晩年のシーンもそれを裏付けている。
また、日本での曲の知名度が最も高いのは、タイトルにもある愛の賛歌かと思いますが、ピアフの名曲はそれだけではないのだというのもよく分かります。

粗も隙も全く感じない、主演のマリアン・コティヤールが圧巻。ちなみに劇中のピアフの歌声は、マリオンとピアフ本人の肉声が混在しているらしいですが、少なくとも私には差は感じられなかった。すごい。

歌しかなかった。けれど、歌があった。だから生きてこられた。
彼女が演じるピアフの、アーティストとして血肉を削って舞台に立つ姿は、壊れそうなほど脆いのに、愕然とするほど強かった。
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