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黒いジャガーのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

黒いジャガー(1971年製作の映画)
3.8
『ブラックイナフ?!?』に影響受け、早速、ブラックスプロイテーションの代表作の一つを観ました。黒人監督ゴードン・パークスによる黒人俳優の黒人のための映画。OPからして ワクワクします。ただ街を歩いているだけなのに、めちゃめちゃカッコいいです。アイザック・ヘイズの音楽がたまりません。楽曲はアカデミー賞歌曲賞を受賞しています。

今まで観てきたニューヨークのスラム街はセットだったのかなと思うような、リアルなニューヨークを撮っています。黒人監督の切り取るニューヨークは生々しくて人の息づかいが伝わります。

主演の私立探偵ジャン・シャフト演じるのはリチャード・ラウンドトゥリー。ニューヨークの探偵は資格制で、信頼される職業。シャフトはマフィアのボスから誘拐された娘を取り戻してほしいと頼まれます。美女のお色気もコメディも入っていて、救出劇は残り3分になってもまだ救い出せていなくてハラハラしました。

今まで観てきた黒人俳優が主演の作品は、白人社会の中の黒人だったことが、本作を観てよくよくわかりました。これは黒人社会から見たアメリカでした。差別的ジョークは、白人映画では口にできないけれど、ブラックスプロイテーションでは会話の中に自然に入ってきます。タクシーに乗車拒否され、数メートル先で白人に乗られてしまうとか、きっと日常なんだろうなあと思わされました。

街のロケーションやビルもリアル。ゲリラ撮影のようで、実際に道に寝ている人たちがいました。

思っていた以上に面白いハードボイルドで、新鮮な驚きがありました。このジャンル気に入りそう。

『Superfly』もブラックスプロイテーションですが、日本のSuperflyはこの映画のカーティス・メイフィールドが作曲した同名主題歌に由来しています。こちらも観たいと思っています。『黒いジャガー』の監督の息子ジュニアの遺作です。
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