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カインド・ハートのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

カインド・ハート(1949年製作の映画)
3.8
サスペンスというより、ブラックコメディ。死刑囚ルイは、復讐のために生きてきた人生を振り返り、重ねた8つの犯罪を語っていく。

街の音楽家と恋に落ちたことで公爵家から追放された母の恨みを晴らすために、一族を殺害し、公爵家を乗っ取り、後がまに座ったルイ。

恐ろしいのは誰か。オチが恐ろしく、シニカルな笑いに満ちていた。見所は、殺害された一族8人すべてを(女性も含めて)アレック・ギネス一人が演じているところ。

どんなに頭脳明晰で計算し尽くしても、穴はあり、墓穴を掘ってしまう。

幼少期から貧困の中にいても、公爵家の正統な跡継ぎだと育てられ、立ち居振舞いも話し方も教養も公爵になった時のために磨いてきたルイが痛かった。

ルイはクズだし、愛人も妻も凄みがあり、人物だれにも共感できないんだけど、いったいこの話の帰結はどこに行くのかと、犯罪を重ねた先に興味があり、話を最後まで引っ張る脚本がよかった。
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