滝和也

黒いジャガーの滝和也のレビュー・感想・評価

黒いジャガー(1971年製作の映画)
3.6
BLACK is BEAUTIFUL!
黒人による黒人の為の映画
ブラックスプロイテーション
名作!私立探偵シャフトが
ニューヨークを舞台に
躍動する!

「黒いジャガー」

凄い邦題がついてますが、原題はシャフト。サミュエル・L・ジャクソンでリブートされてますがコチラが大元。70年代に勃興した黒人層を顧客のメイン層として想定された作品で主演は勿論、監督やスタッフに至るまで黒人で作成された作品群をブラック・スプロイテーション映画やブラックパワームービーと呼びました。その中でも最も成功したのがこの作品です。

ニューヨークを根城に活躍する腕利き私立探偵シャフト。事務所に怪しい二人組がいて乱闘になる。撃退するものの、その二人はハーレムを仕切るボス、パンピーの使いだった。彼を呼び出したシャフト。バンピーは誘拐された娘を取り戻す事を依頼してくる。怪しい相手として活動家グループをパンピーは上げるが、そこには嘗ての仲間ベンがいるはずだった。

ニューヨーク、ブロードウェイ、ハーレムと余すこと無く当時の景色を映し出すカメラ。そこをシャフトのテーマに乗り、小走りに行くロングコートのジョン・シャフト。これだけでカッコ良いし、絵になりますよね。全編ニューヨークロケが昼も夜もカメラに映えてます。

昔のフィルム・ノワールのハードボイルド探偵ストーリーをブラックが演じているかたちであり、基本主役シャフトはヒーロー。マフィアや白人刑事を恐れず一目おかれ、仲間の黒人たちの信頼厚く、白人女性は自ら迫ってくる(笑)

ストーリーとして目あたらしいものはないが、全編ニューヨークの匂いを感じさせるスタイリッシュな画像とシャフトを演じるリチャード・ラウンドトゥリーのスマートな着こなしやブラックミュージックが絡み合い、面白い作品に仕上がっていました。

ラストの高笑いとバッサリ終わるあたりは今では中々ないスタイルでしょうね。これも70年代らしさです。80年代になるとまたスパイク・リーの活躍があるんだけど、また趣きが違いますからね。80年代ならエディ・マーフィーの活躍や近年の黒人ヒーローとなるとマーベルの方が実は近かったりします。このことから時代を考えれば、黒いジャガーは映画史上重要な作品だったかもしれませんね。
滝和也

滝和也