ERI

腑抜けども、悲しみの愛を見せろのERIのレビュー・感想・評価

3.7
♫わたしが神様だったら こんな世界は作らなかった♬ チャットモンチーのエンドロールにスカッとする。

田舎の壮大で美しい田園風景の中で対比する鬱々とした人間模様。閉じ込められた自我や自意識は電波も届かない片田舎でねじ曲がってこじれてく。

全てを周りのせいにして努力はしないが夢だけが膨らむスミカが、両親の事故をきっかけに東京から戻ってきたところから物語は始まる。仕送りがなくなったスミカは東京で暮らせない。何もかもうまくいかないのはこの田舎の、家族のせいだ。

後妻の連れ子だった兄は家族におびえ、家族を頑なに守っている。彼がいう家族だからという言葉こそ、一番家族らしくなくいびつだ。

才能がないのに夢をあきらめない姉は、漫画が好きな妹からすると描かずにはいられないたまらない存在だ。人でなしな自分を自覚しながらも、執拗に姉をウォッチする。

佐藤江梨子さんの田舎にはもったいないほど抜群で完璧なスタイル(この違和感)と、したたかで頑固で才能溢れる妹に佐津川愛美さん(上手い)。妙に暗く閉じ込められた兄に永瀬正敏さん、愛を知らずに生きて1周回って一番変な兄の妻に永作博美さんと、キャストの噛み合ってなさが無駄がなくてたまらなく面白い。とても演劇的で面白かった。

みんな変なんだけど妙なリアリティがあって、人間の可笑しさがゴロッとしている。
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