午前十時の28作品目は「麥秋」。
英訳は「Early Summer」ですが初夏と麦秋は違う。
麦が育つと、一面が実りの色である黄金色に染まる。
風が吹くと、さわさわと稲より軽い音を立てる。
「秋」の字にはちょっと寂しい印象も受けるし、眩しさ一辺倒の「初夏」とは全く異なる言葉だと思ってます。
とにかくいいタイトル!
小津安二郎監督の作品は「東京物語」以来。
固定カメラでも、役者を完璧に(でも自然に)配置して、全員の様子がわかるのが素晴らしい。
結婚結婚と心配され続けるのりこ。
友だちの披露宴では、未婚者は洋装、既婚者は和装で参加してたのがおもしろかった。
まだ「お嫁にいく」という時代の日本人。
戦争から戻らない家族がいたころの日本人。
でもワンピースを着て銀座のショートケーキ食べてタイプを打って働いてる女も存在した日本。
そして「おばちゃん」がたくさんいたころの日本!
最近では「おばちゃん」がすっかり絶滅危惧種ですけど、
28歳でも甥にちゃんと「おばちゃん」と呼ばせててホッとしました。