おむすび

麦秋のおむすびのレビュー・感想・評価

麦秋(1951年製作の映画)
3.5
午前十時の28作品目は「麥秋」。

英訳は「Early Summer」ですが初夏と麦秋は違う。
麦が育つと、一面が実りの色である黄金色に染まる。
風が吹くと、さわさわと稲より軽い音を立てる。
「秋」の字にはちょっと寂しい印象も受けるし、眩しさ一辺倒の「初夏」とは全く異なる言葉だと思ってます。
とにかくいいタイトル!

小津安二郎監督の作品は「東京物語」以来。
固定カメラでも、役者を完璧に(でも自然に)配置して、全員の様子がわかるのが素晴らしい。

結婚結婚と心配され続けるのりこ。
友だちの披露宴では、未婚者は洋装、既婚者は和装で参加してたのがおもしろかった。
まだ「お嫁にいく」という時代の日本人。
戦争から戻らない家族がいたころの日本人。
でもワンピースを着て銀座のショートケーキ食べてタイプを打って働いてる女も存在した日本。

そして「おばちゃん」がたくさんいたころの日本!

最近では「おばちゃん」がすっかり絶滅危惧種ですけど、
28歳でも甥にちゃんと「おばちゃん」と呼ばせててホッとしました。
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