大好きな作品を、10年ぶりに。
アジアの作品に惹かれる。
静かで、暖かく、力強い作品。
市井の人々の生き様を描き、
深く胸に刻まれる作品たち。
ジェット・リーが自閉症の息子を持つ父親を演じたこの作品も、そんな中のひとつだ。
自分の余命が短いことを知った父親は、
自分の死後に息子が安心して暮らせる場所を必死に探し始める。
そして、生きる術を少しでも教えようとする。
独自の世界に生きて、人との永遠の別れにもどこか飄々としているように見える息子。
だが、父親亡き後、息子の中には、
確実に父から教わったことが息づいている。
卵を茹で、お弁当に持って行く。
バスに乗る。
降りるバス停では大きな声で、それを知らせる。
父親が愛してくれた記憶は、決して消えはしない。
彼の中にずっと存在し続け、満たし、内側から彼を見守り続ける。
青い水の中で、地上では少しぎこちなくもある体を自由に動かしながら、彼は永遠の父親の愛とつながる。
世界とつながる。
久石譲が手がけた音楽も素晴らしい。
ラストシーンでは、涙が滲んだ。