sakura

リトル・チルドレンのsakuraのレビュー・感想・評価

リトル・チルドレン(2006年製作の映画)
3.4
『TAR』から流れて。

W不倫と小児性愛、ひとつの話で描こうと思うことがもうすごすぎる。

個人的には小児性愛について、そういう性癖であるならもうそれはそれで仕方ないとして、だからと言って子どもに手を出すのは違うし(視姦も含め)、逆にいえばどんな性癖だろうと自己完結できず加害のラインを踏み越えるひとは一生社会復帰してほしくないと思っている。

それを前提としたうえで、「大人になれなさ」に優劣はあるのだろうかということを思った。
欲求を抑えられない、いい歳をして自立して生活ができない、家庭がある者同士で関係を持ってしまう、自分の変わった欲を家族より優先してしまう、正義が牙をむく加減がわからない、、、
そんな、一人前の大人としてのだめさ・未熟さは、ベクトルが違うだけでダメレベルはたぶんほぼ等しくて、それぞれの苦悩が並行して描かれる。

無意識のうちにわたしたちの多くが「共感」に取り憑かれてしまっている今の時代、たとえば不倫のように共感を集めやすい「だめさ」は同情を得やすく、たとえば欲求を抑えられないという共感を集めにくい「だめさ」はぼろくそに糾弾されてしまう。(まあ、性加害は犯罪としても悪質なので本気でだめ)

自分は、なにか過ちを犯してしまった人や他人の未熟な点について、咎めることなんてできた人間だろうか、ということを考えながら観た。


別に似てるとかではないのだけど、この独特のナレーションが入るかんじ、見終えた頃には無性に村上春樹が読みたくなってた
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