魔女見習い

銀河鉄道の夜の魔女見習いのレビュー・感想・評価

銀河鉄道の夜(1985年製作の映画)
4.5
人間を含む全ての生命は何かの犠牲の上に成り立っていて、生きれば生きる程その犠牲はどんどん高く積み重なっていく。生命が尊いのはその下に何十何百もの犠牲となった生命が存在するからだ。生きる事は生命に対する最大の裏切りだ。
自分だけしつこく生き延びる厚かましさ。生命への執着心。そんな事を四六時中考えていたら生きていけないから、人間は世の中を少しでも良くしようとせっせと働いておいしいものを食べて柔らかくベッドで眠って、何もなかったかのようにまた朝を迎える。

カンパネルラや蠍が行った自己犠牲は美しく倫理的だが、それがほんとうのさいわいに繋がるのかは分からない。さいわいは結局個人のものでしかなく、それを世界全体で共有することは不可能に近い。
でも世界全体が幸せにならない限り、個人のさいわいなどあり得ない。
魔女見習い

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