三隅炎雄

殺るかやられるかの三隅炎雄のレビュー・感想・評価

殺るかやられるか(1966年製作の映画)
3.7
高橋英樹・芦川いづみの日活アクション。これは野村監督かなり気合を入れて撮っている。所謂ムード・アクションなので最後の詰めがどうしても甘くなるのが残念だが、細部に常に工夫が凝らされていて演出家の集中が途切れない。モノクロームの画面の中、翌年の『拳銃は俺のパスポート』に繋がる荒涼たるロケーションや非情な暴力描写が見られるのも注目点で、ムード・アクションの枠を踏み出そうとする作り手の意思が覗く。撮影・美術も凝ったもので、だらけたルーティン仕事では決してない。高橋英樹・芦川いづみ・杉浦直樹・郷鍈治の配置も上手くいっている。高橋は作品ごとの演技の良し悪しが激しい人だが、これは熱の入った良い演技だった。
アマプラ配信画質がもっとマシなら印象は更に良くなるだろう。これはまともな画質で見てみたい。

高橋英樹が劇中ギターの弾き語りをする場面(主題歌『傷だらけのブルース』)がある。
三隅炎雄

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