半兵衛

大自然の凱歌の半兵衛のレビュー・感想・評価

大自然の凱歌(1936年製作の映画)
3.6
前半の主人公を含めた荒くれ者たちが酒場などで大暴れする様はいかにもホークスらしくて愉快だし(若いはずの主人公を演じている俳優が中年なので違和感がありまくりだけど)、主人公の職業である土木作業の切った大木を川に流したりするなどダイナミックな映像も迫力満点で楽しい。

ただ後半の時を経て出世した主人公が、前半パートで付き合っていた女性の娘に惚れるという展開がキモすぎてついていけなかった。分別がついた年齢の人が、いくら昔好きだった女性の面影があるからといってあんなにストレートに若い娘を好きになるって男性から見てもキツイ設定だと思う。それと前半あんなにテンポのよかった演出が、後半いきなりゆったりとした演出に変わるのも違和感がある(一説によると前半がホークス、後半がワイラー演出からくる影響だとか)。

それでも自分は若いと思い込んでいた主人公が若い娘との交流を通して、自分の年齢や老いに気付くという物語として見ればそれなりに味がある。そしてラスト、若い二人を見送る主人公の何かを諦めたかのような悲しい顔に人生の悲哀を感じる。

母娘両方のヒロインを演じる女優の、二役を巧みに演じ分ける演技力の高さに舌を巻く。

ちなみに後半若い二人が結ばれるきっかけになるのが飴作りの作業というのもいかにもホークスらしい。
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