F・ゲイリー・グレイ監督作。
ロサンゼルスを舞台に、無職の黒人青年二人組が繰り広げる騒動を描いたコメディ。
黒人監督:F・ゲイリー・グレイの監督デビュー作となったコメディ映画で、主演のアイス・キューブが製作と脚本に携わっています。
ロサンゼルス・サウスセントラル地区の住宅街を舞台にして、仕事をクビになったばかりの黒人青年:クレイグと麻薬密売人の親友:スモーキーが過ごす金曜日を描いたもの。二人は自宅玄関に並べた椅子を拠点にして、お喋りで時間を潰したり、マリファナを吸ってハイになったり、生意気なガキを追いかけ回したり、留守中の隣家に忍び込んだり―と下らない二人の日常をコミカルに活写しています。他愛ないエピソードが続く日常系コメディですが、一応筋らしきものはあって、麻薬を勝手に吸っていたスモーキーのせいで麻薬ディーラーに「殺すぞ」と脅され、夜までに所要の金を用意すべく金策に走る二人の奮闘を描いています。
黒人俳優が主役となった紛れもないブラックムービーで、当時流行した巨大ラジカセやハイドロ改造車、黒人ファッション、ヒップホップ、黒人コミュニティ…とLAのブラックカルチャーを余すことなく詰め込んだエネルギッシュなコメディ映画に仕上がっています。麻薬や暴力沙汰が日常茶飯事となっている犯罪多発地区が舞台となってはいるものの、無職で金欠続きな黒人青年の日常を、悲観的ではなく底抜けに楽観的に&馬鹿馬鹿しさ万点に活写した能天気コメディで、バリー・ジェンキンズの『ムーンライト』(16)や『ビール・ストリートの恋人たち』(18)に代表される近年の黒人映画とは対照的にご機嫌な作風が炸裂しています。
『ボーイズ’ン・ザ・フッド』(91)で俳優としてのキャリアをスタートさせたアイス・キューブと『ラッシュアワー』シリーズでお馴染みのクリス・タッカーが腐れ縁コンビを軽快に演じていて、主演のアイス・キューブは恐喝脳筋野郎と死に物狂いのタイマン勝負(小ジャイアンvs大ジャイアン)を披露しています。