ヨウ

コード・アンノウンのヨウのレビュー・感想・評価

コード・アンノウン(2000年製作の映画)
3.9
ワンカットが目覚ましい群像劇。形ある収束は見せずモヤモヤを残したまま閉幕。何とも言語化に困る内容であるが故に否応なしに頭の中へこびり付き己で考えろと発破をかけられる。父親との関係に悩む青年、演じることに疲れている女優、戦場カメラマン、不法入国の物乞い女性、代々アフリカ系の移民。大通りでの諍いを機に数珠繋ぎとなるそれぞれのバックボーン。抱え持つ蟠りが棘となり外部へ曝け出されるとき、社会のダークサイドもが火の元に照らされ我々に大きな問いを投げ掛ける。聾者たちの演奏する太鼓の音色が異様な酩酊へ誘う。全編を通じて意思疎通の機能不全を皮肉っているのだろう。この映画を完璧に読み解くことは一生の課題になること間違いなし。ハネケは残酷な啓蒙者だ。
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