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白い巨塔のかずシネマのレビュー・感想・評価

白い巨塔(1966年製作の映画)
3.6
医療系の作品はドラマでも映画でも苦手だ。
苦手な理由は、病気や怪我などがとても身近な恐怖である事、その上で手術シーンが登場する事。(一部の漫画等が例外的に平気。)
自分はそれらを見て聞いていると血圧が下がる様な、貧血の様な、とにかく体調が悪くなってくる。
こちらも開幕早々に作り物ではなく実際の手術シーンの映像が流れ、他の手術シーンも含めて手で目を覆った。
何をどうしても無理。直視できない。
だからこそ、医療関係者の皆さんを尊敬している。

で、そもそも、こちらのメインは人間ドラマや政治ドラマだから…と思って鑑賞。
(その結果が開幕手術シーンだったという…w)
話は、あ、ここで終わるんや?という所で終わる。多分原作が完結前の製作だったからと思う。

野心メラメラな田宮二郎も勿論やけど、里見先生の田村高廣が良かった。優しい雰囲気や顔つき・表情が役柄とよく合ってる。
「私の診断が間違っとると言いたいんか?」的な台詞のシーンの田宮二郎の顔が怖くて良かった。
東野英治郎の「この様な勝ち方をした財前くんが、今後どの様になるのか」みたいな台詞は、自分も同じ様な事をしているのに…と思った。
貴方は、貴方の嫌いな財前と同じステージに立ってるやで。

都合がいい場合は担ぎ上げ、都合が悪くなると扱き下ろす。
そういう周りの人間が嫌だった。

今後に響くとパワハラを受けて、良心の呵責と自分の立場とでゆらゆらしてしまう事になった若い先生が気の毒…。
裁判時の東都大学の教授の証言が個人的に良かったと思ったなぁ。この人もけして「良い人」ではないけど。
感情と事実、そして財前の手腕を分けて考えている感じが良かった。

病院関係の人間関係やら力関係やらの実際のところは自分には分からないけれど。
その企業の成り立ち方に起因してバブル期辺りで何もかもが止まったまま、学閥やら派閥やらもあり、それが仕事の立場にも影響を与える…という会社にいた事がある。ほんの数年前の話。
だから「あーこういうの、マジでめんどくせぇし、アホくさいよなぁ」と思いながら観ていた。
そこは生まれたばかりの赤ん坊でもない限り、日本人なら誰もが知っている企業のグループ会社だったのやけど。
天下りとかも普通にあった。
そういう「何もかもが古い」企業は自分はそこが初めてだったから全てに面食らったけど、多分他にも時間が止まったままの体質の企業はいくらでもあるんやろな、と思ってる。
少なくとも、自分が言っている企業と成り立ちが殆ど同じのいくつかの企業は似た体質だと思ってる。
当然だが、他所を知らなければ、その体質がおかしいという事すら分からないのだと思う。
財前みたいな人も里見先生みたいな人も、板挟みになってしまう人も、誰かを担ぎ上げていたお偉いさん方みたいな人達も、多分まだまだその辺りにいる。

自分は里見先生の様な良い人、そしてだからこそ損をしてしまう人も好きだけど、財前の様な分かりやすい人も好き。
但し仕事の腕が確かな事が前提やけどな。

観ていて関西弁なんか標準語なんか、どっちかハッキリせぇとは思ったw
両方が混ざっとる。
あと山陰大学馬鹿にすんな!と思うw

唐沢の財前が話題になったのって何年前だっけ…と調べたら今年で18年も前になるらしくてビビる。あれ、もうそんなになるん??こっわ。
自分は佐藤慶の財前を観てみたい。
他の映像作品と比べて屈折している財前らしい。

どうでもいいけど、選挙のシーンで名前を黒板に書いていた場面、字ぃきれっっと思ったw
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