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ビッグ・フィッシュのcocoroのレビュー・感想・評価

ビッグ・フィッシュ(2003年製作の映画)
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現実を夢のように生きたのか人なのか、夢を現実として生きた人なのか、物語の始まりはそんな不思議な疑問とともに私をなんとも素敵な世界に招き入れてくれた。嘘か本当かなんて関係なく、聞く人を引き込んでしまう彼の物語に終始心が吸い寄せられるのを感じずにはいられない。誰かの話を、興味深く楽しみ、時に目を輝かせながら聞くこと。自ら本をめくって物語を読む、自ら考えて解き明かしていく、そういう受け取り方ではない。相手に全てを委ね信じ空想の扉を開くと、風のような声と共にすぅっと物語の世界が広がっていく。なんて気持ちが良くて懐かしいんだろうと思った。

人はたくさんの事を知っていく上で、それ以上に多くのことを忘れてしまったり、見えなくなってしまったりする。信じることに理由や根拠を求めてしまうようになる時がくる。そんな時に思い出したい。人生を語ることに費やし、ついに物語自体になってしまった男、愛されしビッグ・フィッシュを。
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