JTKの映画メモ

エンター・ザ・ボイドのJTKの映画メモのレビュー・感想・評価

エンター・ザ・ボイド(2009年製作の映画)
4.5
ギャスパー・ノエ5本目。

長いわ。
そこだけほんの少し不満。
でも、やっぱめちゃめちゃええわ。

性と死。死後の魂の彷徨のトリップムービー。
ビートルズというかジョン・レノンが1966年に創った「Tomorrow Never knows」って曲も同様「チベットの死者の書」からインスパイアされた曲で、歌詞の中に"Lay down all thoughts, surrender to the void"という一節があった。まあ似たような世界観を表しとるわけだが。その時のFAB4もラリパッパだったでな。さもありなん。

トリップムービーといえばキューブリックの「2001年宇宙の旅」が最も完成されたものの一本だが、この映画観ればわかる通りノエもめちゃ好きみたい。
現に「アレックス」では部屋にポスターが貼ってあったし「LOVE」では主人公が好きな映画に挙げとったし、この映画ではバーのテレビに一瞬映っとった。

繰り返し書くがアートに目的なんかいらんのだな。
創って、観て、おおお!と揺さぶられれば、余分な介在物はいらん。屁理屈もいらん。
かといって、絵でも映画でも主題みたいなものはなくちゃ成り立たんもんで一応あるけど、主題とのスタンスとアプローチの仕方がノエはとことんアートだと思う。
自分の思うアートとは、受け手の知や認識や意識を超えて、理屈抜きで揺さぶられる、ものや、こと。
だから、ノエはアート。