ぷん

劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲のぷんのレビュー・感想・評価

4.6
ミュウツーの反抗期

この映画、小さい頃からエボリューションも含めて10回以上は見てるんだけど見る度に感想が変わっていく、そして多分今回映画館で見ることが出来て、ようやくこの映画の大枠を理解することが出来たと思う

思い出補正一切なしにしても、この映画は大傑作

1.ミュウツーは何を逆襲したのだろうか?
それはコピーである自分を証明するための逆襲だったのである。
生物として最強であることこそ抗えぬ真実であり、それこそが自分自身が存在し得る証明になると考えた。
ミュウより強く作られ、サカキから、この星の生き物がやってきた戦いと破壊と略奪、強い物が勝つ、と教えられる
最強のポケモンになること=ミュウツーのの存在意義 なのだ

2.ミュウツーはサトシ達を集めて何がしたかったのか?
最強のトレーナーを集め、コピーポケモンを作り、戦い、勝つことで最強のポケモンであることを証明したかった
だからわざと嵐にさせたり招待性にさせたり、ふるいにかけたんだね
ポケモンをよく知ってるジョーイさんを洗脳させたり結構かしこいミュウツー
ロケット団は侵入出来ちゃったけど

3.ポケモン達はなぜ泣いたか
本物とコピーポケモンが戦い始めるが、ポケモン同士で泣き始めてしまう
これは、お涙頂戴ではなく、ちゃんと理由がある
本来戦っていれば勝つことに集中し、勝てばその快感に溺れることができる
それが出来ないのは本物であれコピーであれ戦ってる相手は自分自身だからなのである
ニャースはコピーニャースの爪を痛そうだと言い、コピーニャースも戦うことで痛みを感じることを承知して戦うことすらしない
ムサシとコジロウは「自分で自分をいじめてる、昔の自分を見るようで、今の自分を見るようで」と言ってる

つまりこの戦いが意味してるものは、ミュウツー自身の心の葛藤であり、ミュウツーも自分で自分を傷つけていたことが分かるのだ

特別版?にはアイという女の子が出てくるが、「生き物は体が痛いとき以外は涙を流さない、悲しみで涙を流すのは人間だけである」と言う台詞がある、ポケモンは痛みを理解して泣いていた

4.サトシがバトルを止めに入った功績
生物同士の戦い、強いものが勝つと教えられたミュウツーには、勝負を止めることなど考えもしなかった
しかも自ら死を選ぶ行動を取るなど

生きること=強いものが勝つ
のはずだったが、
愚かだった人間が仲介に入り、敵対していたものを一つの同じ生き物だとし、死を決めるという矛盾を学んだミュウツー

つまり矛盾と共に、生き物全てを自分のこととして捉える事こそ生きるということであり、ミュウツーの生きる目的となったのだ

5.なぜミュウツーは今回のサトシ達の記憶を消したのか
これはミュウツーの私小説であり、心の内側の話だった、
誰も知る必要がないし、ミュウツー自身の中だけでこの物語はお終いにしたかった
厨二のあの暗黒時代って誰にも知られたくないのと同じだと思う笑笑
自分しか知らない物語、これこそ最高の夏映画!

最後のセリフがロケット団のいい感じー!でスッキリと終わるのも最高
子供相手に何教えてんだってのもあるけど、なんかあれなのかな?大人になった時にこうやって見返して、今あーそういうことだったのか、って伝わるってとこまで考えられてたのかな

とにかく本当にすげー映画、あと毎回変なところで泣く、不思議すぎる映画

神保町シネマは夏になると80年代90年代の最高の夏映画をやってくれるので毎年楽しみです
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