津軽系こけし

寝ずの番の津軽系こけしのレビュー・感想・評価

寝ずの番(2006年製作の映画)
4.7
卑猥でお上品


賢くなったような馬鹿になったような
落語家のお弟子さん達が通夜と葬儀にて思い出話に耽る会話劇映画。卑猥な話から過去の話まで洗いざらい吐き出す通夜の歓談は、大人世界特有のくだらなさが乱れ咲き独特の心地よさを生んでいる。さらに宴の浴びるような人生肯定感も映画の情緒に外連味がなく消化していて、かなりスマートな印象。お弟子さん達の卑猥な話も落語家さん特有の言葉選びが相まって、武芸を眺めるような心持ちで拝聴いたしておりました。

私はお酒にはたいそう弱いものですから、この手の一献を嗜む映画は高嶺の花的遠さを覚えます。さらに私は話も詰まらなければ、場を盛り上げる経験談もありませんので、せいぜい無能ぶりを弄り倒されるのが関の山でしょう。しかしながら憧れを抱いているのも事実であります。
はぁ……私の人生ってなんなのでしょう。この気持ちは未来永劫私の戒めとして持ち歩くこととします。トホホ……
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