JTKの映画メモ

驟雨のJTKの映画メモのレビュー・感想・評価

驟雨(1956年製作の映画)
4.8
成瀬巳喜男監督作は代表作を数本観たにすぎなくて、「乱れる」みたいに大好きなのもあれば、「浮雲」や「めし」みたいにイマイチなのもあった。多分ほんのちょっとの匙加減が波長に合わないか、その時のわしの気分に合わなかったんだと思うが、具体的には忘れた。

でも、今作「驟雨」はめちゃ良かった。
ドラマティックなことは何も起きない。
何でもない日常こそ幸福というね。平和であればこそ。戦争反対。
また、夫婦を描いた映画は数多くあるが、その中でもベスト級だと思う。
ラストの風船のシーンは映画という表現領域でなければ描けない名シーンだった。

この映画で映される生活や街の風景は、わしの幼児の頃にもまだあって、家の周りの道は未舗装だし、家は木造だし、全体的に貧しい。
そのノスタルジーと相まって、まるで夢を見てるみたいな至福な時間であった。

あと、街の露店のおっさんが、怪獣映画で最初に怪獣に遭遇して発狂する役者さんだった。
何故か最初に怪獣に遭遇して発狂するのは、いつもあの役者さんだったような気がする。
それも懐かしかった。(笑)


leylaさん、きっかけサンキュー♫