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驟雨の犬のレビュー・感想・評価

驟雨(1956年製作の映画)
3.0
例によって原節子と夫の間には子供が存在せず、不幸ではなくてもどちらかと言えば悲壮な表情を見せる訳だが、ラストの紙風船バレーでは原節子がトスする際に佐野周二を激励することで謎の爽快感に込み上げてくるものがあると同時に、両隣の住人もフレームに収めた引きのショットが滑稽にも見えて情緒が快楽に満たされる。強引なことは承知の上で、原節子が考え事をする際に下を向きがちなことに関連付けて灰皿やネクタイに於ける目線、雨が降れば傘と長靴を用意するっていう下部へのアプローチが暗示されている。
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