シリアスさとコミカルさの共存した台詞の応酬の魅力。
夫婦(家族)は最も近い他者である。
故に室内シーンで多用される奥行きのある部屋1にいるAさん、部屋2にいるBさんを同時に捉える構図によってその境界線が強調される。また、その逆に同じ釜の飯を食べる仲間たちや満員電車のような境の無さも示される。
そして、その境界は当然家庭内に留まらず近所関係にも接続される。隣夫婦との関係性やグループによるその場にいない人の陰口、町内会議と取り上げられる犬というモチーフ。ここで遂に言葉の通じない他者が出てくるのも極めて鋭い。
一つ屋根の下の他者同士の不和は、境界の外からの思いもよらぬ影響によって好転するかもしれない。垣根という境の外からやって来た紙風船が引き起こすネットという境のないバレーの協働ゲーム。美しい。